TAMCの歴史

概要

東京アマチュア・マジシャンズ・クラブ(通称TAMC)は昭和8年(1933年)尾張の殿様 徳川義親侯爵、

東大名誉教授 緒方知三郎博士(文化勲章受章者)を中心として創立され、現存する日本で最古のアマチュア・マジシャンズ・クラブです。

TAMC創立の前年1932年5月、目白の徳川邸に石田天海夫妻を招き、創立メンバーと一緒に!

前列(皆椅子に座っている)左より右に:

井上充、阿部徳蔵、徳川夫人、徳川義親侯爵、天海夫人おきぬ、石田天海、福士政一

後列左より右に:

山岸徳平、緒方秀雄、広瀬渉、颯田琴次、緒方知三郎、箭内守美、

石井武一、金沢義之介、坂本種芳、柴田直光、山田治作、小城末喜

会報の歴史

1.初期会報

 TAMCの会報は、昭和10年(1935)1月に発行された。英文タイトルは「OFFICIAL ORGAN OF TOKYO AMATURE MAGICIANS CLUB VOL.1 NO.1」。

このスタイルの会報は、10冊確認できており、版型はA4よりやや大きく、4頁、または8頁、12頁。初年は4冊刊行されたが、巻号の付け方が当初は混乱しており、第4号より、一般の学術雑誌のように、同じ年内に発行するものは同じVolume(巻)とし、それぞれ1からNumber(号)をつける形式に修正した。しかし、昭和14年発行のものは、単にNO.10と記され、巻号表記をやめて通巻表記となった。第1号から数えて10冊目になるので、この間漏れはないと思われる。『TAMC50年のあゆみ』の年表には、第6号(VOL.3 NO.2)までの記載があるが、それ以後は記されておらず、第10号以降の発行は確認できない。

昭和10年(1935) VOL.1_NO.1   VOL.2(VOL.1_NO.2)  VOL.3(VOL.1_NO.3)  VOL.1_NO.4

昭和11年(1936) VOL.2_NO.1

昭和12年(1937) VOL.3_NO.1~2

昭和13年(1938) VOL.4_NO.1~2

昭和14年(1939) NO.10

2.TAMC内報

昭和12年(1937)7月20日付「TAMC(内報)特輯版」と題する、B4ガリ版刷り、縦組み3段×2の袋とじ1枚ものが1点残されている。内容は「藤波氏に仕掛物小道具の話を聴く―例会席上にて」で長崎抜天記。

昭和12年は、まだ上記の初期会報が発行された時期であるが、このような臨時的な会報が他に出されていたかどうかはわからない。 似たようにものとして、昭和14年(1939)3月発行と推定される、「ABRA KADABRA NO.1」というタイトルのA4縦、横組み2段の1枚物で、ガリ版刷りの印刷物が残っている。「(1)ハンケチの手品 結んで結べぬハンケチ1」と題して、いわゆるフォールスノットの技法を紹介しているほか、1939年2月16日の例会記事などがあることから、会報としての性格を持っている。このほか、NO.14(1940/2/22)、NO.18(日付不明)、NO.20(同)が現存する。この3点は、表題が「TAMC内報 ABRA KADABRA」となっているものの、内容はマジック技法の紹介のみで、会の活動報告などは記されていない。
 これとは別に「あぶだ かだふら ABRA KADABRA NO.1」と題するTAMCの小冊子がある。これは天城勝彦(坂本種芳)が作成した奇術目録で、「本目録は吾々が今日までに研究習得した内外の奇術を材料別に載録して備忘の資に供するもの」と例言に記されている。日付は「14-3-16 再版」で、約20ページにわたり奇術のタイトルが記されている。

3.奇術文化研究会報(戦時中)

昭和16年(1941)12月8日の対米英開戦後、「アマチュア・マジシャンズ・クラブ」という名称は敵性語である、という批判をかわすため、会名を「奇術文化研究会」と改称した。奇術文化研究会時代には、会報「奇術文化研究会報」が発行されており、現存が確認できたものは以下の通り。

 昭和17年12月20日(巻号なし)   昭和18年1月7日     1   昭和18年1月24日   2

 昭和18年2月4日     3   昭和18年2月18日   4   (昭和18年3月18日例会記事) 6

 (昭和18年4月1日例会記事)  7   (昭和18年4月8日例会記事)  8   (昭和18年4月15日例会記事) 9

いずれもガリ版刷りで、4号まではB4縦組袋とじ、6号以降はA4横組みとなっている。

4.第1次再刊(昭和24年)

『50年のあゆみ』の年表では、昭和24年(1949)5月16日に「戦争以来休刊していたTAMC「会報」復活」、翌25年(日付なし)には「はがき通信が行われた程度で「会報」も途絶えてしまった」と記されている。存在が確認できているのは1号のみ。

5.第2次再刊(昭和27年)

昭和27年(1952)1月、「会報」VOL.21 No.1 が刊行された。『50年のあゆみ』では、年6回発行の予定とするが、現存が確認できたのは以下の3点で、昭和28年以降の発行は確認できない。

VOL.21 No.1 昭和27年1月(表紙コピーのみ) VOL.21 No.2 昭和27年7月 VOL.21 No.4 昭和28年1月

 いずれもガリ版刷り、10数ページ。VOL.21とする理由ははっきりわからないが、会長の緒方知三郎は「再刊のことば」に「私共の会T.A.M.C.も創立してから既に20年」と書いていることから、21年目の再出発という様な意味が込められているのではないだろうか。

6.青年部機関誌 HOUCUS POCUS

「50年のあゆみ」によれば、昭和29年6月、青年部の機関誌HOUCUS POCUSが刊行され、現物の一部を確認できたが、発行期間等詳細は不明。

7.第3次再刊 『復刊 第1号』

これまで数度会報を再刊したものの、戦中・戦後の物資不足などのため、いずれもガリ版刷りで、長くは続かなかった。しかし、戦前の初期会報のような美しい印刷の会報を復活したいという会員の意見は根強く、昭和34年(1959)8月、「T.A,M.C.会報」復刊第1号が発行された。英語タイトルはTHE BULLETIN OF THE TAMC。表紙カラーの活字印刷で、写真も掲載されたが以下の4号で休止した。

第1号 昭和34年(1959)8月  第2号 昭和35年(1960)4月  第3号 昭和35年(1960)11月   第4号 昭和36年(1961)9月

8.「ご案内」から「月報」、そして再び「会報」へ

正確な時期は不明だが、昭和30年代半ばには、「会報」とは別に、例会、大会、新年会などの案内のため、「TAMCご案内」と題するガリ版刷りのチラシが発行されていた。昭和35~6年のものが確認できるが、年次不明のものも残されている。

 昭和38年1月10日幹事会において、「従来の「ご案内」として発行されていた刷り物を「T.A.M.C.月報」と改題し、会の記録と会員への案内通報の便とする」ことが決定、和文タイプ横書きの「月報」の発行がはじまった。

 当初、「T.A.M.C.月報」には巻号表記がなく、「昭和38年 _ 1月~2月」のように年月表記のみで、この場合、1月の活動記録と2月の案内が記されていることから、1月末または2月初めに配布されたものと考えられる。1964(昭和39)年より西暦表記となり、1969(昭和44)年1月は「第6901号」と表記、以後現在のように、「西暦下2桁+月2桁」を号数とするスタイルとなった。また誌名にもブレや変遷があり、「T.A.M.C.月報」は1966(昭和41)年頃より「TAMC月報」となり、時には「TAMC会報」と表記されることもあったが、1981(昭和56)年よりは「TAMC会報」となっている。

現在の会報最新号

業績研究

阿部徳蔵氏

東京アマチュア・マジシャンズ・クラブ(TAMC)の平成27年度の研究委員会では、日本の奇術界に顕著な足跡を残された過去の会員の業績研究を行い、後世にその遺産を引き継ぐべく試みに着手しました。その最初の対象者は、大正12年/13年及び昭和5年の三度に渡り昭和天皇へ奇術を披露、昭和8年のTAMC創立に参画し、第二代会長として本会の発展に寄与された阿部徳蔵氏としました。阿部徳蔵は明治末期から他界された昭和19年に至る迄一貫してアマチュアイズムに徹した奇術活動に尽力し、「奇術随筆」「とらんぷ」と言った名著を世に残しました。また特に注目されるのは、レジナルド・スコットの『The Discoverie of Witchcraft』に掲載された世界最古のカード奇術を翻訳し、著書「とらんぷ」に発表するなど、日本に於けるクロースアップマジックの先駆者としての存在です。
*レポート概要;A4サイズ157ページをPDFデータにしてCD版に編集
*発行及び配布;2016年9月CD版完成 / TAMC会員及び一部の奇術研究家に配布
*レポートの中身で他に発表されていない出色の内容は…
 ・阿部徳蔵の詳細年譜
 ・阿部徳蔵の父・阿部弘蔵についての経歴レポート
 ・大正13年赤坂離宮にて披露をした演技プログラム
 ・2015年阿部徳蔵の遺族から提供された遺品の紹介

高木重朗氏

東京アマチュア・マジシャンズ・クラブ(TAMC)の研究委員会では、過去の会員で顕著な足跡を残した会員の業績を現在の人に知って頂き、また後の世代にそれを引き継ぐべく、一昨年は「阿部徳蔵氏の業績研究」をまとめました。それに引き続き、今回は戦後の日本のマジック界に大きな足跡を残された高木重朗氏をテーマに選び、調査を進め、この程『高木重朗氏の業績研究』のレポートが完成しました。 前回の阿部徳蔵研究は、レポートを電子データ(CD)にし、TAMC会員と極一部のマジック研究家の方に配布を致しました。 高木重朗氏は広く知られた方であり、また多くの著作物を残されておりますので、これからもその業績は日本のマジック界の財産と言えるでしょう。   

*本の概要;A4版120ページ(カラーページは15枚)

*頒布時期;2018年4月

*頒布価格;別途

*冊子中身の出色の読みどころとしましては…

 ・氣賀康夫会長の書下ろし「グレイト高木論」

 ・小野坂東氏に回想頂いた「最新インタビュー」

 ・全著書及び主要雑誌寄稿の詳細調査リスト,等

天覧奇術

TAMCの会として天覧を賜わったのは昭和23年5月以来5回にも及んでいる.そのプログラムは次に掲げる.

第1回 天覧プログラム 昭和23年5月16日,於宮中皇族会議室

1.御挨拶        徳川 義親
2.奇術について     緒方知三郎
3.春宵落花       金沢義之介
4.えにしの紐      青木 東正
5.幻の玉        栃木 允
6.お江戸神田祭     三輪 寿
7,すもうる・まじっく  伊藤 真一
8,タンバリン      安部 元章
9,霊感術        緒方知三郎
10,夢と共に       遠城 保
11.とらんぷ・とらんぷ  田中 仙樵
12.腹話術「フクチャン」 柳沢 義胤

第2回 天覧プログラム(立太子礼記念)昭和27年12月14日,於高松宮邸光輪閣主催 菊栄会

1.ごあいさつ        毛利 元良
2.アメリカン・マジック  ジャコブ・トラップ
3.幸運のカード      河合 佐治
4,マジック・コント    池田三三雄、福岡 太郎
5.砂と水         坂本 種芳
6.腹話術「リラ子」    柳沢 義胤 助演 高岡 元一、長谷川 智

第3回 天皇陛下御還暦奉祝<下記動画参照>昭和36年5月9日,於皇居呉竹寮

1.魚水心          松本 秀夫
2.宇宙時計         竹山 清
3.インスタント・エッグス  金沢義之介
4.ある咤球師の幻想     林 寛
5.手妻うら・おもての事   池田 正一、森田銈治郎
6.高速度成長術       坂本 種芳
7.剣と少女         杉浦房次郎
8.実験奉祝の多羅意     緒方知三郎
       進 行   堤 正元

第4回
昭和41年10月9日,於皇居桃華楽堂

第5回
御成婚五十年奉祝
昭和49年1月28日,於東宮御所

海外との交流

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著名な会員

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創作奇術

歴代の会長

初代会長(昭和8~9年)   福士 政一

2代会長(昭和10~13年)   阿部 徳蔵

3代会長(昭和14年~17年)  田中 仙樵

4代会長(昭和18年~41年)  緒方 知三郎

5代会長(昭和42年~42年)  坂本 種芳

6代会長(昭和43年~44年)  肝付 兼英

7代会長(昭和45年~45年)  坂本 種芳

8代会長(昭和46年~48年)   堤  正元

9代会長(昭和49年~52年)  鶴岡 鶴吉

10代会長(昭和53年~55年)   堀   武

11代会長(昭和53年~58年)  上野景福

12代会長(昭和59年~62年)  森田銈治郎

13代会長(昭和63年~平成3年) 池田正一

14代会長(平成4年~8年)    川崎利秋

15代会長(平成9年~12年)    持永恒美

16代会長(平成13年~16年)   多湖 輝

17代会長(平成17年~20年)   都築幹彦

18代会長(平成21年~24年)   坂本圭史

19代会長(平成25年~26年)   山本玄一 

20代会長(2015年(平成27年)~2018年(平成30年))   氣賀康夫

21代会長(2019年(平成31年)~2022年(令和4年))    蔵原克治

22代会長(2023年(令和5年)~現在)            土屋理義

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